活動報告
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 2017年
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  基礎訓練会(捜索) 12月17日 神奈川県愛川町 24頭18名
 基礎に特化した訓練会である。地味ではあるが欠かせない分野であることは間違いなく、とくに混乱した災害現場で大きな弱点となって現れてしまう。野球もランニングや素振りは欠かせない、相撲も四股やすり足が欠かせないように何をするにしても基礎がベースにあるものである。
 犬は走り回ることが好きであるから、捜索作業においては探しているように映り錯覚しやすい。難しい設定はハンドラーの自己満足のためのようなもので競技会志向ならいざ知らず現場では安定した確実な作業ができるようになりたいものである。
 この日も捜索の基礎予定であったが、作業に入る状態でなく服従の訓練会になった。「座れ」「待て」といった指示に従わないのに「探せ」の指示が伝わっているとは思えない。
 「探せ」の指示が伝われば、効率よく継続的に作業を行うはずである。作業犬であること、人命救助に関与していることを考えれば、どのような訓練をするべきかは自ずと見えてくるはずである。
 救助犬業界で軽視されてきた基礎訓練であるが、私たちは重視して続け、結果で示して行くつもりである。

  災害救助犬フェア 11月23日 東京臨海広域防災公園 11頭14名
 2011年に4つの災害救助犬組織が防災啓蒙の一翼を担って集まり災害救助犬の理解と支援を求めたのであるが、その後は当会だけが継続して毎年参加している。社会の理解は一過性の取組みでは深まっていかないもので地道に継続が大切であろう。
 生憎の雨模様であったが午後から晴れ間も見え、防災公園を訪れる人々に向けてデモを行った。観客は少ないがその中から少しづつ災害救助犬への理解が深まっていくことを願うばかりである。


  IRT国際救助隊連携訓練 11月17日 福島県郡山市 3頭4名
 福島県郡山市にある郡山消防日出山訓練場の瓦礫施設において、国際消防救助隊(郡山・いわき消防)連携訓練が行われた。ネパールカトマンズ北部でM8.4の地震発生という想定である。
*不明者多数・建物倒壊多数
*OSOCCカトマンズ
*USASAR-1完了
*トリアージカテゴリーF
*JPN−1
*セクター郡山A
*アセスメントの結果
*RC 2/0 共同住宅 完全倒壊
*部屋数 1F×5 2F×5
*要救済み 1F×3名
*NO HAZ
*ライフラインクリア
*建物西側ショアリング必要
以上のブリーフィングから、災害救助犬は第一小隊・第二小隊の2隊に帯同し検索活動を行った。
 午前中は、第一小隊の指揮下で検索を行い、4つのブロックに区分けされたそれぞれのブロックを検索し、反応を確認する作業に従事した。AブロックとDブロックの境界付近でバークアラート。その他のブロックでは南から風でセントコーンが発生し、多少のナチュラルアラートは見せるもののピンポイントでのアラートではないと判断し、先程の箇所でピンポイントの特定を行い、再度バークアラート。第一小隊に救助活動を引き継いだ。
  午後からは第二小隊の指揮下にて検索活動を行った。午前中の救助犬の作業と検索チームの作業を見て、初動検索から救助犬の投入が有効と判断され、初動検索から作業に入った。指定された検索箇所はCブロックからBブロックにつながっているCSのラインの中へ救助犬を進入させ、CSの先にはBブロックの瓦礫の中に転覆した車両があり要救助者の確認を行った。検索当初は、CSの内部に多くの瓦礫が存在し、Bブロックにつながるラインを塞いでいるために救助犬はDブロックに抜けてしまうので、第二小隊の隊員によりライン内にある瓦礫を撤去し、クリアになったラインに再度、救助犬を進入させたところ、Bブロックの転覆車両の直下付近でバークアラートし、その後第二小隊のCSRにて要救助者を救出した。
  検索中は、常に小隊がバックアップ体制にあるために、検索する救助犬としては、非常に心強い反面、ゼロ回答を含む精度の高い検索と情報伝達が求められる。
 実働を見据えた緊張感のある連携訓練は今後も継続的に必要である。そして救助隊の信頼を得てサーチ&レスキューのモデル作りに向けた大切な機会にしたいと考えている。
 
  行方不明者捜索 11月6-8日 京都市右京区沢山周辺 9頭13名
 
   警察・消防 捜索エリア    災害救助犬 捜索エリア
 里山での行方不明者である。71才男性が自転車で原谷(金閣寺西方)から沢山方面に入山、自ら110番に救助を求めてきた。携帯電話もつながり、情報も多くすぐに見つけられる事案と警察は判断したようである。
■情報(通話記録)
 *岩から落ちて背中を打って動けない。(20分通話)
 *何度か来ている場所である。(10kmほど自転車で来ている)
 *原谷から西方面にいる。(方角は曖昧)
 *白い家の屋根が見える。(地域の特定は不確実)
 *夜景が見える。(京都市内?)
 *グランドが見える。(立命館?)
 *沢の音が聞こえる。(比較的低い場所である)
 以上の情報から、翌日ヘリから要救助者は見えないが、要救助者からヘリの見える方向を通話しながら、位置の特定に努め、ポイントした。一方、携帯電話のGPS位置情報もとれた。(MAP参照) それぞれの位置は少しずれているが双方のポイント周辺には居なかった。119番とも通話し情報が錯綜している点はあるが、電波の範囲も絞り込み容易な事案と考えられていた。
 しかし、見つけられず災害救助犬に出動要請が来た。三重、兵庫、京都から集まり4時間後には活動体制に入り、上記の情報が重なる場所付近を中心に探索を行ったが手掛かりすら得られなかった。2日目には東京、神奈川から駆けつけ頭数も増えた。警察消防とすり合わせをしながら、エリアを分けて気がかりな所を集中的に探索した、72時間を過ぎ4日目に入り雨となったが、警察犬2頭も投入され、方向性のヒントを提供してくれるかと期待したが、手掛かりは得られなかった。警察犬よりも早く要請が来たのは何故か、期待されているのは間違いない。災害救助犬の活動範囲は特性が生かせるエリアを優先的に任せられていることからも伺える。要救助者に辿り着くのは追跡していくのではないので巡り合わせかもしれないが、出動しない限りその可能性すらない。
 自力で下山したのではないか、との推測から家の確認、病院などの問い合せなどもしているようだ。自転車もそのままである。携帯もつながらず、ポイントから移動したことも想定し情報に拘らず範囲を広げ深く入って行ったが、犬の反応らしき動きは見られなかった。4日目の夕刻、捜索態勢は通常に戻され、災害救助犬は撤退することになった。
 低山とはいえ山の捜索には指導手の体力も必要である。2次遭難を起こさないために、現在地の把握も常に行う習慣を身に付け沈着冷静な判断が求められる。捜索は犬に任せ、大局的に行動ができるチーム体制で取り組むことが必須である。今回もサポーターを付けて臨んだのでアクシデントはなく、行動面では役割分担ができていたが、さらに共有し強化させていく必要がある。


  消防山岳救助連携訓練 11月1日 埼玉県飯能市 4頭5名
  埼玉西部消防飯能日高消防署山岳救助隊、埼玉県警秩父署山岳救助隊、災害救助犬の3機関での合同連携訓練である。
 災害救助犬は防災訓練やデモでは見かけるが、本当に実務的に活用できるのか?を検証してもらうために第1ステージでは、救助犬についての講和と服従のデモやバークBOXでの臭いに対するナチュラルアラートとバークアラートの反応と臭いの流れのについて話し、第2ステージは救助隊員の方々が製作した倒壊家屋の中の要救助者と小さな沢の中に土砂災害を模した設定の中の要救助者に対しての捜索の様子と反応を見てもらった。このステージでは、実際に設定されている現場の風の流れに対しての犬の動きを事前に説明し、その通りに犬が動くかどうか、そして犬がバークアラートしているポイントは、要救助者の頭がどちらにあるか、を示していることなど…。救助犬を検索活動で活用する場合の効率や弱点なども合わせて説明した。そして最後の第3ステージでは、実際に龍崖山中にてのブラインドによる行方不明者の捜索訓練を行った。
 これは、入山から15分程度の場所に予め設定されている生体の要救助者に対しての捜索の動きを見てもらった。救助犬を使って既に山岳救助隊が検索済の北斜面および北東斜面を再検索し、ゼロ回答を導き出し、次に東斜面の検索に入った時点で、犬は確実に吹き上げの風の流れによって運ばれてくる要救助者の臭いに反応し、登山道から約70m下の沢沿いにて要救助者に咆哮し、安全管理で同行した救助隊より要救助者発見の報告がなされ。ザイルボッカ及びバスケットストレッチャーによる傷病者の搬送訓練に移った。
 訓練終了後、一連の救助犬チームの動き見て消防、警察の山岳救助隊から、実務的な活用面での質問や今後の取り組みについての具体的なアプローチがあり、事後処理的な活用ではなく、初動捜索の段階で如何に効果的に救助犬を活用し、1人でも多くの命を救うための捜索活動に結びつけるか、の連携を確認した。
 これについては、「なるほど」その方法があったのか!という新しい最前線での連携のモデルができそうです。救助犬の立場から考えると、検索活動の際に消防・警察のバックアップがあることは心強く安全に活動ができる。
 実務的な評価の言葉とともに、いままで進めてきた取組みが少しずつ1歩1歩進んでいることを実感できた訓練であった。これからも実際の連携活動のなかで「救えるはず命を救うために」いままで以上に人・犬共にスキルアップし真剣に活動に取り組まなければならないと強く感じさせられた。

  福島県防災フェア 10月28-29日 福島県南相馬市 6頭9名
 福島県とは出動協定を締結していることもあり、防災啓蒙を行う防災フェアにも参加を昨年に続き要請された。
 福島、新潟、千葉から6頭9名が2日間にわたり災害救助犬の広報のために活動をした。2回のデモンストレーションでは基本的な服従作業とBOXでの捜索作業をみてもらった。会場には同時進行でイベントが行われていたが、東日本大震災の被災者が多い南相馬であること相まって多くの方が災害救助犬に興味を持って集まってもらい、災害救助犬の特性を披露でき理解が広まっていくことができたように思う。
 2日目は雨天により展示ブースのみの対応となったが、快晴時に限定せず指導手の冷静な判断、犬の確実な作業をめざし、広報最前線での作業精度を披露できるように努めていきたい。

  福井県動物愛護フェスタ 10月29日 福井県越前市 2頭3名
 台風が近づき雨の一日であった。屋外でデモをするのは救助犬だけである。雨の中でも普段通り作業を行えた犬たちであった。私たちよりも観客が少ないのが寂しいことである。スタッフもにわか観客となって盛り上げてもらった。2年前からシェパード大好きな女の子で救助犬ファンがこの日も大阪から追っかけて来てくれた。

  緊急援助隊関東ブロック訓練 10月24-25日 群馬県 8頭13名
■太田会場
 毎年2日間に亘って各県の消防緊急援助隊が地方ブロック単位で合同で行われる実践的な訓練である。
 1日目は9時から22時まで休みなしで次から次へと形を変えて起こる災害に対応する。訓練の流れをわかっているのは設定者だけで、如何に適切に力を合わせて対応できるかが問われる。災害救助犬は2チーム体制を組み2ケ所同時進行の訓練に対応した。常にスタンバイ状態が続くことへの待機体制も課題である。
 渡良瀬川河川敷で行われた会場では、群馬、栃木、山梨、埼玉県の緊援隊が順次指揮を執る形で行われたが、引継ぎなどに不安も見られた。災害現場で一つの救助隊として連携して対応することが望ましいことは共有されているはずであるが実際の場面では難しい課題であるように思える。救助犬も同様に連携の言葉だけが先行しているが、実利ある連携を実現するには批判を恐れない強いリーダーシップが必要であろう。


■桐生会場
 桐生会場では採石場を土砂災害現場に見立て、ブラインドによる捜索救出訓練が実施された。被災地へのトンネルが崩落し、土砂の除去、道路啓開を施し救助に向かうリアルな想定である。トンネル手前に現地本部が置かれ、被災地へ進入するたびに現場指揮所を置いて臨機応変に対応していった。
 群馬、千葉、東京等の消防現場本部には救助犬の特性を説明し理解を深めたうえで救助隊に先行して捜索に当たれたことは評価できるが、捜索現場の規模、状況がわからない段階においてもチームとしての機能を果たすための人員、頭数が必要であること、また夜間捜索における装備や役割分担、権限の徹底には課題が残った。
 評価と課題を都度抽出、分析し、より現場をイメージした実践的な訓練を模索していきたい。

■閉会式
 訓練参加部隊が揃っての閉会式。サーチ&レスキューのスタイルのなかに災害救助犬の存在が見えてくる光景であるが、与えられるその役割を果たせるように精進していかねばならない。

  秋季合宿訓練会 10月15-16日 新潟県妙高高原 29頭22名


  認定(捜索)審査会 10月14日 新潟県妙高高原 9頭19名
 
 

  新潟県消防学校特別授業 9月29日 新潟市 5頭9名
 群馬県、広島県でも同様のセミナーを開催している。災害救助犬の認知の向上とともに過大評価されていくことは避けなければならない。正しい知識と理解、客観的な情報を基に適切に判断されて効果的に人命救助の作業に加われれば役に立てると思う。
 午後1時から5時までの4時間のプログラム
@災害救助犬とNPO活動について
 欧米先進国も災害救助犬は民間の活用である。共助ということからも如何にうまく活用し人命救助に生かせるか、私たちの目的、日常の活動も理解してもらう必要がある。
ANHKEテレ「学ぼうBOSAI」ビデオ
 NHK教育で小学校高学年向けに制作された「命を守るチカラ・災害救助犬」の公開映像である。10分間で非常にわかりやすく編集されている。
B災害救助犬の特徴と訓練について
 言うまでもなく臭覚が優れている犬ではあるが、それを生かすには服従性を挙げている。作業犬として優れた臭覚を必要な時、場所において生かせるようにならなければならない。
 それは訓練において犬との関係性、服従訓練、環境馴致、経験などの積み重ねが求められる。
 犬の生かせるのは指導手にかかっていることを認識してすべての関りに向き合い取り組んでいることを強調した。
C災害救助犬のウイークポイント
 災害救助犬は常に正解を導き出せるには諸条件がある。特に臭覚を生かすには、風、温度、湿度、現場環境などに左右される。
 また、遺体判別に対する訓練も十分ではない。そうした点も踏まえ、時、場所、環境を選びタイムリーな活用を願う。
D日本の災害救助犬組織の現状
 災害救助犬の実際はデモで示すことにして、扱う人間側の組織事情、課題について自戒をこめて披瀝した。
 組織の数、特に対組織の連携行動について意識が薄いこと、整っていないこと、訓練もしていないこと、ただ犬がいることだけが災害救助犬組織があることを前提に、スポーツドッグとしての災害救助犬が存在することも認識しておいてもらい活用の判断材料の一つになること、災害救助犬の能力の問題ではない。
 日本におけるサーチ&レスキューに災害救助犬が加わるレベルにはない。それは人間側が機能させるチームとして未熟であること、現場で使うにはリスクが伴うこと等は隠すことはできないし、既に見破られていると感じている。
 この課題の克服には外部の協力が必要であることを提案しつつ、私たちは「群馬県においてのモデル」を作ることも表明した。
E先進国から学ぶ
 昨年、3名がスイスの国際救助犬訓練ウイークに参加した。そこで学んだこと、感じたことなどを日本に当てはめ、いま日本でできること、やらなければならないこと。それは災害救助犬サイド、救助隊に限ったことではない。行政も企業も含まれる。国レベルの対応が求められるが当てにはできないが群馬県においては着実に前に進んでいることも事実で成果を示して行きたい。
F救助隊との連携訓練の実情
 人命救助に常に向き合う救助隊から学ぶことは多い。如何に犬に頼り現場を甘く見ているかが教えられる。
 そして機動隊、消防などと訓練はしているが実務的であるのか。救助隊で補えない点を災害救助犬でカバーしてチームとして機能させることを具現してもらわなければ訓練のための訓練で終わり、成果が集約されないことは避けたい。
G災害出動からの教訓
 中越沖地震、岩手内陸地震、庄原土石流災害、東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震などに出動し教訓として改善に取り組んでいる現況、常に課題を突き付けられ、未熟さを思い知らされる。
 その中で、現場から、また救助隊から教えられるもの、一番は個人の力の非力さで協同して事に当たるという当たり前のことができていない現状から、特に連携に対しては積極的にならざるを得ない。不謹慎であるが訓練では味わえない現場の緊張感の中で役目を果たす冷静さは経験でしか会得できないものである。それを生かす知恵を出し合っていかなければ災害地見学かと揶揄される。正念場の災害救助犬の立場の認識を示した。
Iデモンストレーション
 服従作業と捜索作業の実際を見てもらうのだが、犬自慢を見せるのではない。同じ救助隊のメンバーとして指揮隊の指示が最先端の災害救助犬に正しく伝わり作業しているのか。安全な作業ができるのか。捜索作業以外の所作は信頼に耐え得るのか。
J連携訓練
 救助隊が災害救助犬を現場で使うを想定して連携して行方不明者を捜索する。それぞれに本部を置き、指示を受けて作業に入る。
 要救助者が居れば告知できなければならない、当然である。ハイテクマシンの消防機材よりも効果的な場面があるのではないか。効率的な作業が行えるのではないか。逆に懸念される点は何か。等々どのように見て感じられたのか。
 実務的には課題も多い。例えば情報の共有、共通用語、タイムリーな連絡、指示報告等々、混乱した現場ではさらに混乱するであろうことから平時の訓練が望まれる。
 以上を終えて、評価されても、懸念があっても災害救助犬サイドは一過性に終わらせず覚悟して対応していきたい。

  小学校(4年生)特別授業 9月25日 京都市 5頭4名
 小学4年生90名に向けての特別授業に呼ばれ、災害救助犬の特性、活動内容、作業実演を行った。午前中の2時間、子供たちに向けて作った資料映像を使い、まず災害救助犬とはどのような仕事をするのか、どうして訓練しているのか、興味をもってもらうように心掛けた。たまたまシェパードの子犬が同乗しており大変な人気を集めた。また子供たちを要救助者に見立てて探し当てるデモでは手を挙げる子が終わりなく続き時間が足りなくなった。
 こうした子供たちがハンドラーとして、ボランティアとして関わってくれることを願いたい。
 終了後には給食を一緒に食べさせてもらい質問攻めにあったが、犬を飼っている家庭も多く、指示に従って一体で動くことに感心したらしく、どうしたらできるのか、興味を示していたようだ。

  下越動物愛護フェスティバル 9月23日 新潟県新発田市 3頭4名

  滋賀動物愛護フェスティバル 9月18日 滋賀県竜王町 3頭4名
 

  四日市市防災訓練 9月10日 三重県四日市市 2頭3名


  京都府防災訓練 9月3日 京都府八幡市 3頭5名
 出動協定に基づき防災訓練に参加した。恒例ではあるが、実際の災害時に対応できるようになればと願う。
 昨年同様に災害救助犬合同チームで対応した。災害救助犬組織間で現場を想定すれば当然の対応であるが、防災訓練はイベントとして各災害救助犬祖機の発表会と捉えているのか連携への取組みができていない現実とのギャップに行政、救助隊は活用しにくく、冷ややかに見ているように思える。
 災害救助犬は見つけて吠えるというシナリオが通常であるが、広い現場における要救助者の探索という役目で漠然としているが、効率的な人命救助の一端を担うことには違いない。目視できる負傷者以外に不明者はいないか、混乱する現場において優先順位を設けて救助作業に当たれるようになれば多くの人命救助ができるはずである。本部に情報が集約され、災害救助犬の特性を生かしたタイムリーな救助作業の一翼を担える災害救助犬チーム(災害救助犬間の連携)にならなければ存在価値はなくなっていくであろう。犬がいれば災害救助犬というのは幻想で実際の現場では通用しないし、むしろ邪魔になる恐れがある。常に実働を見据えて訓練に取り組むようにしていきたい。

  群馬県防災訓練 9月2日 群馬県渋川市 3頭5名

 出動協定に基づき群馬県防災訓練に参加した。群馬県は災害救助犬に対して積極的であるとともに活用の仕方を真剣に考えている。私たちも群馬県において災害救助犬活用のスタンダードモデル構築に提案、訓練を行うつもりである。(群馬県モデル)
 今回は県警機動隊との連携で倒壊建物の検索を受け持った。県警とともに現場に到着、現場指揮所からの指示を受け建物群の検索を行い、2頭とも同じ場所で反応を示した。その結果を現場指揮所に報告、救出活動に移った。新たな作業への指示のため救出完了まで現場待機していた。イベント的な訓練ではあるが、互いの意識の中に一刻も早い人命救助のための有効な方策、動きを認識しておくことが必要であろう。
 一方、災害救助犬を知ってもらうための広報ブースも設置され、災害での活動状況や特性をパネル展示した。活動している災害救助犬とのふれあいには多くの方々が立ち寄り、募金もいただいた。行政、救助隊に限らず一般社会からの支援、理解も貴重である。

  青森県防災訓練 9月1日 青森県つがる市 4頭5名

  亀岡市防災訓練 8月26日 京都府亀岡市 2頭4名



  山岳合宿訓練会 8月14-15日 長野県大町市湯俣 13頭11名
 猛暑の夏の避暑を兼ねた山岳での訓練会である。環境省、林野庁、東京電力の協力を得て、北アルプス槍ヶ岳北鎌尾根の取付き湯俣まで入る。朝夕は涼しく犬は別天地であろう。
 災害だけに限らず捜索依頼が来る山岳での行方不明者は多いので地図の読み方、自己の安全確保、無線交信、装備などを実践的にスキルアップする必要がある。
 山岳での捜索は範囲が広く、多数の犬がいても無計画な捜索では消耗が激しくカバーできない。救助犬の特性を生かした効率的な作業が望ましいが、犬の反応精度、信頼が不可欠である。こうした実践的な訓練の機会によって、いつもの訓練では掴みきれない犬との信頼関係を積み重ねる必要がある。

  新潟自主訓練会 8月4-5日 新潟県加茂市 12頭11名
 訓練場には日影が少なく犬にとっても人間にとっても訓練に集中できる環境ではなかったが、わずかな日陰で基礎的な訓練を行う熱心さは実りをもたらすはずである。DRDNの育成の方向性は基礎の重視であり、そのことが結果的には能力向上につながってきていると感じられる。犬と一緒に作業をするためには信頼関係がベースであり、犬に作業をやらせて一喜一憂していては場当たり的な対処になりがちである。地道な訓練ではあるが終わりはなく続けて行ければ将来が楽しみである。
 

  行方不明者捜索 8月1日 京都市右京区小倉山 2頭4名
 トレイルランニングに出かけた男性(68)が出発点に荷物を預け4時間の予定でコースも告げて出かけたが戻ってこなかった。
 名所嵐山の一角をなす296mの低山で百人一首を編纂した場所としても知られている。
 携帯電話も携行しており、予定コースの範囲で電波も受信できている。いつもの山岳捜索よりも発見、生存率も高いのではないかと考えていた
 しかし、いつもより範囲は狭いが、暑さとケモノ道は行動を妨げになる。道からの滑落の可能性があるところは下降して確認し、通れるところはすべて確認したはずである。滑落しそうな場所では携帯電話をかけて呼び出し音を聞き取る方法もとったが、警察、消防、ヘリ、警察犬(追及)も投入しての捜索であったが発見するに至らなかった。
 暑さ、長時間に対して頭数は必要である。今回は他団体からの応援もあったが、被災者の立場から考えれば、連携して災害救助犬チームとして取り組むことは当然のことであろうし、効率的な配置、作業精度のためにも集中的な投入で人命救助に向き合えるようにならなければ信頼は得られない。

 捜索マップ  ※8月5日、観光トロッコ列車の運転手から異臭がするとの情報から周辺を下降しご遺体が発見された。
 この場所は通常人が通るところではなく、トレイルランナーが通るとは考えにくいが、上部から滑落した痕跡があった。
 ヤマレコのGPS記録にはケモノ道を踏み入れたデータがある。いろいろな想定をして捜索に関わるが、行方不明になる現実に想定外の結果を見せつけられる。
 
  こども防災キャンプ 7月309日 京都府与謝野町 3頭4名
 京都府教育委員会主催で京都府各地で行われる1泊2日の恒例の行事である毎年参加している。親子で避難宿泊体験や防災意識の啓蒙が狙いである。災害救助犬の仕事の内容や作業の実演を行った。
 京都府とは出動協定締結していることもあり、災害救助犬が各分野に認知されていく一つの結果でもある。
 しかし、認知とともに各地でイベントに呼ばれる機会は多いが、本来の目的である人命救助への組織内の取組みを疎かにすることを忘れないようにしたい。

  わくわくフェア 7月9日 青森市アリーナ 3頭5名
 恒例となったホームセンター主催のイベントで災害救助犬のデモ、ふれあいを行った。いろいろな機会に広報活動を行うが、日々たくさんの募金にも協力してもらい、災害救助犬への理解が広がっていくことを実感している。こうしたイベントでは一般の方々からの思い、期待に応えて行ける災害救助犬組織にならなくてはと強く感じさせられる。

  夏季合宿訓練会 6月17-19日 滋賀県竜王町 29頭27名 
 北は福島、西は山口から27名が集まった。地域ばかりの訓練ではマンネリ化するので合同訓練は刺激がある。しかし、一歩外にでれば普段通りできないことはよくあることではあるが、そんな弁解は通用しない。初めての場所、人への環境への馴致は基本である。
 恒例の服従セミナー。日常に犬とのコミュニケーションがとれていないで作業をさせることは無理がある。できないから指示が抑圧的になる、犬は楽しくない悪循環である。人のエゴでは真面な作業はできない。犬との向き合い方が大切であることを思い知らされるセミナーである。
 前日の認定Rに合格したペアで広報デモの作業を披露した。3頭並列で練習せずぶっつけ本番に臨んだが、認定Rに合格した能力を持っているので問題なく作業をこなしてくれた。
 人を捜す災害救助犬ではあるが、捜索の訓練よりも基礎的な訓練を重視していることで指導手は自己満足は得にくいが、急がば回れの如く結果は着実に表れてきていると感じられる。ご褒美を求めて行方不明者に突っ込んでいくことは意欲的だと思われがちだが、節度をもって告知咆哮できることが求められる。
 捜索審査Vペアの作業も見た。ペアで捜索作業を熟し着実に成果に結びつけていく。犬の作業意識、自主性、指導手の判断、的確なハンドリングが必要なことは言うまでもない。
 3日目は実働的なチーム訓練を行ったが、連絡内容、現在地の把握、タイムリーな記録、行動管理、訓練不足等々、反省が聞かれた。個々の思いよりもチームで与えられた役割を認識して共有できなければ力にはならない。そこには規律、仕組みも必要である。個々の能力を合わせられるチーム力をスキルアップさせたい。

  認定R審査会 6月17日 滋賀県希望が丘 13頭20名 
 50%の合格率であったが、運がよければ合格するというものではない。指導手と犬の関係性が良ければ必ず訓練の成果は出るはずである。服従作業はできたがBOX、ランナウエイ作業ができない、その逆などチグハグな面が見られた。作業の意識、指示が伝わっていない、環境に対応できていないなど経験不足が表れたようである。審査という意識が強く、犬の能力を引き出せないのは指導手の落ち度であろう。現場はさらに緊張感がある。活動視点から求められる作業を考え合わせ臨機応変に対応して行けば成長が期待できる。

  FEMAセミナー 5月9,10日 兵庫県三木市 数十名(消防関係含) 
 救助隊との連携プログラムがあるとのことで3名で参加した。
 FEMAから2名の講師が来日され、ICS(インシデントコマンドシステム)の実績、有効性についてレクチャーされたが、私たちはオペーレーションの一端を担う立場であり、機能的に動けるように準備を怠らないようにしておきたいが。むしろ災害本部を司る行政に向けてレクチャーされ導入の是非が判断されるべきことであろう。こうした海外の実践事例は参考になるが、知識偏重がもたらす弊害の方が気になる。日本の風土に適合する仕組みも中長期的なビジョンを基に考えなければならないのではないか。
 消防と救助犬との連携訓練が行われたが、救助犬独自の動きで表題とはかけ離れた緊張感のあるものではなかった。実際の現場を想定し消防指揮下でどのように動き、役割を果たすのか、平時からイメージしておく必要がある。連携訓練ではシナリオがあり役目を演じるような訓練発表会からは卒業したいが、認知されるかは私たち次第である。
 救助犬に対して消防がどのように評価したのかは今後に見えてくるが、シビアな評価にも謙虚に向き合いたい。

  わんぱく学園 4月22日 岩手県北上市 4頭6名 
「犬にふれてみよう」という行事に呼ばれ、災害救助犬の特徴や実際の作業のデモなどを行った。実際の作業犬にふれあうのは楽しそうであった。犬好きの子供たちが興味を持って未来のハンドラーになってくれればありがたい。

  春季合宿訓練会 4月16-17日 福島県西郷村 27頭29名 
 全国組織である当会の合宿訓練会には大きな目的がある。災害現場で機能できるチームになるためにそれぞれの役割分担の必要性の理解、共有、もう一つは当会が考える災害救助犬としての持つべき最低スキルの確認がある。平時は個々に育成を行っているがメンバーが集まって行う合宿訓練会はチームとして活動するうえにおいて同じ目的を持った仲間がこれからの課題克服、取り組みを議論し合えるのは貴重な機会である。
 服従のセミナー、捜索のセミナーをプログラムに入れて久しいが確実にスキルアップしている。犬との関係性、基礎的訓練の反復を忘れてはならない。今回は認定審査会があったこともあり、認定されなかった犬、指導手の弱点補強をテーマに行った。犬と一緒に作業をすること、犬に任せるところ、指導手がカバーするところを弁えれば犬は教えた作業をするものだ。
 活動へのスタートとして、まずは認定と考えている人は多いので基礎的能力の定着にも力を入れて行きたい。
                       
 
  認定(捜索)審査会 4月15日 福島県西郷村 13頭31名 
 今回は捜索作業の審査会である。倒壊建物と山野捜索が3つのゾーンに分かれ、エリアを確認しながら行方不明者の確認する方法で設定されていたが、実動イメージとわかりながらも訓練のような捜索風景が見られた。災害現場は常に初めての場所になる。必要な時、場面で作業をさせるONOFFのスイッチ切り換えができるか、犬は人の臭いに反応できる能力を持ちながら、審査会という緊張感が邪魔をするのか焦りや発見に固執してしまうのは残念なことである。しかし、現場の緊張感、期待感はさらに厳しい。指導手の指示、ハンドリングが犬を迷わせているようだ。
 設立当初から実動のための審査会であることは周知されいるはずである。合否に関わらず個別評価を面談し、認定が叶わなかった人は基礎的な訓練とは別に着実に行方不明者を検索することのイメージを養い、失敗から学び成長されることを願うばかりである。認定された人は実動へのイメージをもって救助隊との連携訓練、実働シュミレーション訓練に参加し現場対応のスキルを上げて災害救助犬チームに加わってもらいたい。
                       

  広島県消防学校公開講座 3月15日 広島県消防学校 4頭9名 

 広島土砂災害の被災地が目の前に見える丘の上にある消防学校において災害救助犬に関わるt特別授業を行った。その時の教訓もあり救助専科教育の中で行われる特別授業である。
 災害救助犬について知識を深め、理解したうえでタイムリー、効果的な活用を考えるために開催された。災害救助犬への積極的理解はありがたいことでもあるが、その期待への準備は今のままでは応えられないと考えている。
 災害救助犬の活用のモデルとするために犬の特性だけでなく、災害救助犬サイドの体制、現状を恐れずに披瀝し、過去の教訓などから学び取り組んでいることなどを正しく認識してもらったうえで消防救助隊からの信頼が得られるようにしたいと考えています。
 2時間のレクチャーとデモ、実践想定のブラインド訓練をおこなったが、レクチャーの主眼は、日本における災害救助犬の現状を理解、認識し、その上で現場で活用するには、しっかりとした災害救助犬チームを見る目を養い、無秩序に投入することなく特性の把握、安全管理の意識、指揮系統に組み入れ活用できるかを現場本部、救助隊が冷静に判断してもらえれば、効率的な作業において成果につなげられるはずである。
 互いの特徴を生かし補い合い、現場で人命救助に取り組むサーチ&レスキューのモデルを確立したい。日本におけるスタンダードモデルになるための第一歩である。

■プログラム13:00〜17:00
1時限目
■NPO活動と災害救助犬 10min
■「学ぼうBOSAI」NHKEテレビデオ 15min
■災害救助犬の訓練と特徴 10min
■災害救助犬のウィークポイント 10min
2時限目
■災害救助犬組織の歩みと現状 10min
■災害救助犬先進国からの学び 10min
■救助隊との連携訓練 10min
■災害出動からの教訓(中越、東日本、広島、熊本など)20min
■災害現場での救助隊との連携に向けて(提案)15min
3時限目
■災害救助犬デモンストレーション(屋外)30min
4時限目
■ブラインドサーチ&レスキュー連携訓練50min
                       


  小田原市防災フェア 3月5日 諏訪ノ森公園 5頭6名 

  群馬県消防学校公開講座 3月2日 群馬県消防学校 4頭9名 
 昨年の救助科に向けた講座に続いて2回目の講座である。今回は県内各署の警防科向けに行うとともに公開講座となって80名が受講された。群馬県においては11消防署に災害救助犬の理解が浸透していくものと期待している。
 午後1時から5時までの4時間のプログラム
@災害救助犬とNPO活動について
 欧米先進国も災害救助犬は民間の活用である。共助ということからも如何にうまく活用し人命救助に生かせるか、私たちの目的、日常の活動も理解してもらう必要がある。
ANHKEテレ「学ぼうBOSAI」ビデオ
 NHK教育で小学校高学年向けに制作された「命を守るチカラ・災害救助犬」のビデオである。10分間で非常にわかりやすく編集されている。
B災害救助犬の特徴と訓練について
 言うまでもなく臭覚が優れている犬ではあるが、特徴として服従性、機動性を挙げている。作業犬として優れた臭覚を必要な時、場所において生かせるようにならなければならない。
 それは訓練において犬との関係性、服従訓練、環境馴致、経験などの積み重ねが求められる。
 犬の生かせるのは指導手にかかっていることを認識してすべての関りに向き合い取り組んでいることを強調した。
C災害救助犬のウイークポイント
 災害救助犬は常に正解を導き出せると思われても困る。諸条件がある。特に臭覚を生かすには、風、温度、湿度、現場環境などに左右される。また、遺体判別に対する訓練も十分ではない。そうした点も踏まえ、時、場所、環境を選びタイムリーな活用を願う。
D日本の災害救助犬組織の現状
 災害救助犬の説明は実際のデモで示すことにして今度は扱う人間側の組織事情、課題について自戒をこめて披瀝した。
 組織の数、特に対組織の連携行動について意識が薄いこと、整っていないこと、訓練もしていないこと、ただ犬がいることだけが災害救助犬組織である証明としか言いようがない。災害救助犬の能力の問題ではない。
 日本におけるサーチ&レスキューに災害救助犬が加わるレベルにはない。それは人間側が機能させるチームとして未熟であること、現場で使うにはリスクが伴うこと等は隠すことはできないし、見破られていると感じている。
 この課題の克服には外部の協力が必要であることを提案しつつ、私たちは「群馬県においてのモデル」を作ることも表明した。
E先進国から学ぶ
 昨年、3名がスイスの国際救助犬訓練ウイークに参加した。そこで学んだこと、感じたことなどを日本に当てはめ、いま日本でできること、やらなければならないこと。それは災害救助犬サイド、救助隊に限ったことではない。行政も企業も含まれる。国レベルの対応が求められるが当てにはできないが群馬県においては着実に前に進んでいることも事実で成果を示して行きたい。
F救助隊との連携訓練の実情
 人命救助に常に向き合う救助隊から学ぶことは多い。如何に犬に頼り現場を甘く見ているかが教えられる。
 そして機動隊、消防などと訓練はしているが実務的であるのか。救助隊で補えない点を災害救助犬でカバーしてチームとして機能させることを具現してもらわなければ訓練のための訓練で終わり、成果が集約されないことは避けたい。
G災害出動からの教訓
 中越沖地震、岩手内陸地震、庄原土石流災害、東日本大震災、広島土砂災害、熊本地震などに出動し教訓として改善に取り組んでいる現況、常に課題を突き付けられ、未熟さを思い知らされる。
 その中で、現場から、また救助隊から教えられるもの、一番は個人の力の非力さで協同して事に当たるという当たり前のことができていない現状から、特に連携に対しては積極的にならざるを得ない。不謹慎であるが訓練では味わえない現場の緊張感の中で役目を果たす冷静さは経験でしか会得できないものである。それを生かす知恵を出し合っていかなければ災害地見学かと揶揄される。正念場の災害救助犬の立場の認識を示した。
Iデモンストレーション
 服従作業と捜索作業の実際を見てもらうのだが、犬自慢を見せるのではない。同じ救助隊のメンバーとして指揮隊の指示が最先端の災害救助犬に正しく伝わり作業しているのか。安全な作業ができるのか。確実に答えを導き出せるのか。ハイテクマシンの消防機材寄りも有効な場面があるのではないか。効率的な作業が行えるのではないか。逆に懸念される点は何か。等々どのように見て感じられたのか。
 以上のレクチャーを終えて、評価されても、懸念があっても災害救助犬サイドは覚悟して対応していきたい。
                       
  オール千葉消防CSRM訓練 2月24日 千葉県消防学校 6頭12名 
 昨年に続き2回目の合同連携訓練である。80名の消防隊員に向けて災害救助犬という作業犬の特性をデモンストレーションし、それを踏まえたうえで連携訓練を行った。
 私たちは何のために災害救助犬活動しているのだろうか。との思いを抱きながら 前回は組織連携で対応できたことも頓挫している情けない現状を消防関係者は知らないであろうが、いままで積み重ねてきた実績から評価されている点を無にするわけにはいかない。
 狭い訓練場ではあるが、要救助者の場所を特定し一刻も早く救出をすることが求められる。人海捜索とは違い要救助者の存在は災害救助犬が圧倒的に早いが、特定となると風向き、臭いの散らばり等で特定することは難しい面もある。しかし、それが求められる役割でもある。これからはさらに精度を上げて反応を見極める現場イメージの訓練をしていかなくてはならないのであろう。
                       

  日本救助犬20周年記念懇親会 2月18日 中野サンプラザ 2名
 設立から20年を迎え関係者が集った。災害救助犬が日本に生まれて26年、ようやく存在が知られるようになってきたことは喜ばしいが人命救助に携われることができるのであるかは自問自答すべきことで、日本の救助犬組織がすべてのスキル、体制を備えているわけではない。そのことは行政も懸念している点であることを防災担当副大臣から聞かされた。社会に人命救助を謳い支援を仰いでいるにも関わらず、その能力が信頼を得られていない現状を真摯に受け止める必要がある。国における活用、地域の活用はスタンスが違うであろうが、現場では救助隊の信頼なくては活動はできない。
 日本救助犬協会が20年を経過したが、歴史に胡坐をかくことなく、協同して人命救助活動に取り組めるようにリーダーシップを発揮されていくことを願う。
                       
  冬季合宿訓練会 2月4-6日 赤城青少年交流の家 30頭32名 
 寒さは厳しいが快晴に恵まれた訓練会である。前日の認定R審査会における作業状態を踏まえ、恒例の服従セミナーに続き捜索の基礎訓練を行った。犬の経験、能力を踏まえ、設定、ヘルパーを適宜に行えば作業はできるのである。指導手の願望から作業レベルを上げてしまうことはよく見受けられる。成功の積み重ねであること、焦らず着実にステップアップして行くことには辛抱も必要である。
訓練では見つけるで完結してしまうが、冷静に犬の反応を見る力を養うことこそ現場では必要である。
                       

  認定R審査会 2月4日 赤城青少年交流の家 19頭41名 
 芝地で服従作業には絶好の環境である。 しかし、静か過ぎて実践的ではない気もする。
 全般的にはレベルは上がってきているが、認定R資格はデモ、防災訓練にも参加できるようになるので、基礎捜索作業も環境に左右されず確実性が求められる。
                       

  群馬県消防CSRM訓練vol.8 1月29日 群馬県消防学校 4頭8名 
 参加者は入れ替わって前日に続いて同様に訓練が行われた。やはり経験は大切で、前日よりも効率的には動けたが、まだ道半ば。
                       

  群馬県消防CSRM訓練vol.7 1月28日 群馬県消防学校 6頭8名 
 群馬県の消防有志が行うCSRM(狭隘空間対応活活動)に災害救助犬が加わり、早期の発見により救助救命を行う。狭い訓練エリアにおける要救助者の反応を得ることはできるが、救助作業に移行するには場所の特定が求められる。さらに精度を上げるようにしなければならない。そのためにはハンドラーのみならず、サポ―ターによる冷静な観察、判断が必要と思われる。
 災害救助犬への特性を理解してもらうためにデモを行ったが、機械のように動くわけではなく環境に左右されることも知ってもらい、生かせる場面において活用してもらいたい。

                       
  群馬県との災害救助犬出動協定式典 1月13日 群馬県庁 3頭4名 
 群馬県と災害救助犬の出動協定を締結した。無論災害時の災害救助犬の活用を意図したものであるが、締結に至る実務的な確認事項は群馬県内における災害だけを念頭に置いたものではなく、広域的な災害対応、災害救助犬の組織間を越えて活用できる柔軟な姿勢、現場優先の出動体制づくりをサポートするのが協定の主旨である。
 屋外での式典であったが、消防からの視察も多く心強く感じた。また新聞社5社も取材で革新的な意味を持つ協定であることは感じたのではないだろうか。形式的な協定ではない、これからの災害対応に災害救助犬が加わり新たな取り組が始まり「群馬県モデル」で日本の災害救助のスタンダードモデルとなっていく始まりである。
                       
  大規模災害想定捜索救助連携訓練 1月15日 渋川市 15頭30名

 この冬一番の寒波が押し寄せ、早朝からは積雪が見られた。それでも中止となることもなく県機動隊、4消防、4DMAT、VMAT、災害救助犬ら160名が集結した。
 日時と場所以外は知らされておらず、まさに災害に集結した救助隊が現場で臨機応変に役割を与えられ人命救助に当たった。
 災害救助犬チームは15頭30名が参加し、本部、指揮隊、捜索チームに振分け、消防災害本部の指示のもと捜索に当たった。捜索することに表面的には大きな問題点は起こらなかったようだが、それに至る行動の緩慢さ、時間管理の甘さ、服装の個人差、適切な人員配置など課題は残り、何れ不具合が生じる懸念を感じた。個人で管理できることと、チームとして管理すべきこと、それに加えて犬のコントロール、捜索作業の精度はまだまだ信頼を得られるまでには至ってないように思う。その中で実働を考えるには本部の責任は大きく総括すべき点が多々ある。これでよいということはない。災害救助犬チームとして求められる作業を確実に対応できるようにしていかなければならない。参加して時間を過ごすだけでは意味がない。常に課題を見つけ克服していく向上サイクルでなければ参加の価値がない。
 訓練とはいえ、いつも実践イメージでありたい。