▶組織間連携を試みた結果からDRDNが導き出した方針 いま日本には40余の救助犬団体、グループがあります。組織がまとまるのではなく拡散の方向になっています。一方、災害現場では連携することが必要という言葉だけが独り歩きして連携への具体的な行動には至っていません。私たちも言葉だけでなく、2015年から具体的な連携への試みをしてきましたが、実働を前提にした平時の訓練、取り組みには無頓着であると感じています。同じ救助犬を名乗りながら、似て非なるもので本質は目的は違うのではないかと思っています。連携が前に進むためにはその区別も必要なことです。私たちが正しいとは思っていませんが、あるべき姿を模索中で試行錯誤をしているところです。しかし目的に向かって進んでいることを社会に説明し、理解していただくことは重要なことだと考えています。組織内においても決まっていることでも理解に微妙なズレが生じ、常に摺り合わせを行わなければ力の結集はできないことです。 私たちDRDNは実働するなら、連携するならば平時の訓練を通じて考えていくべきだと思っています。理屈よりも実戦・連携訓練の中で得られた課題を克服していくプロセスがなければ連携は成り立たないと考えています。また組織として人命救助のための目的に集約できないのではないかと捉え、日本のNPOの脆弱性も垣間見え、組織の成熟性の観点から組織間の連携に固執することは徒労になると感じています。 形式的な連携ので無意味な連携擬きで惑わされるのではなく、個人がそれぞれの意識で行動、連携していくことが現況ではベターであると判断しています。災害対応、人命救助は個人では無謀なことであり、組織は別であっても現場でどのように対応するのか、準備はできているのか。どのように協同していくのか、当事者に問題意識があるなら、組織集約ではなく個々に平時に準備、行動で示し協同すべきとの立場です。 DRDNはそうした個々の力を結集できるように行動していきます。 DRDNは組織目的である人命救助活動が基盤であることを明確にして、そのためのプロセスにある活動を積み上げています。 私たちはNPO法人で社会と共に活動していく立場であり、社会の理解、支援が不可欠であります。社会の期待、ご支援が無駄にならないように客観的な判断できる情報を発進して行きます。 2017.7.1 |
災害救助犬が取り組むべき課題(提起) |
|
テーマ | 内 容(問題提起) |
コンセプト | 人命救助の期待に実務的に応えられる災害救助犬になる。パフォーマンスよりも実務を優先し客観的な自己分析を行い共有、連携して行動していく。その上で消防救助隊との連携を目指し、実行できる仕組みを作る。取り組み方は常に議論し実践していく。 |
災害救助犬育成 | 実働対応できる犬、指導手、サポーターの育成・訓練。 犬と指導手、サポーターの平準化した育成・訓練。 当然ながら、これらを統一した認定基準が望ましい。 |
認定制度 | 2007年の共同通信記事にある問題提起から、私たちは自己改革を怠ってきたことを自らが考えるべき課題である。統一基準策定は必要であるが実働を見据えて現場で活動できるか否かで議論されるべきである。 |
出動基準 | 個々の組織判断ではなく、災害救助犬が必要か、また行政からの要請が行われるように連絡体制も整備するべきである。災害に限らず行方不明者の捜索対応にも基準を設けるべきである。 |
連絡体制 | 連携対象は日本国内すべてであり、実務的な組織間のタイムリーな連絡、決済システムが整わなければ実効性はない。 個人的な繋がりで動くことより組織対応が望ましい。 |
必要機材 | 現場で必要な本部資機材、無線機、テント、発電機、救急用品、食料、水、非常食、管理品等共有できる機材をどのように整備、管理していくのか。財政負担ともリンクする。 |
組織編成 | FEMAのICS、スイスレドッグのシステム等、混成される災害救助犬チームを機能させるにはどのように編成すれば効率的に作業できるのか、机上でなく実践訓練で探って行くべきである。 |
本部指揮機能 | 組織の枠を越えて機能する指示系統、権限を共有して現場で災害救助犬がチーム行動できるように、またサーチ&レスキューを効果的に運用させるために救助隊との伝達、連携に支障が起こらないためには災害救助犬チームでのリーダーシップが必要である。 |
捜索チーム | 広範囲、長時間の捜索作業に耐えれるようにシフトするには、頭数も必要であるが、併せて犬のスキル、サポーターのスキル、整った現場指揮システムの構築も必須条件になる。 |
安全管理 | 民間、素人と揶揄されないスキルが必要である。保障、足手まといは行政から拭いきれない点である。サーチ、レスキュー&メディカルがそれぞれに役割を全うするためには一番の課題である。 |
広報システム | 災害救助犬を理解してもらい特性を生かせる活用ができる情報発信が必要で、単独組織における活動広報とは別に、日本における災害救助犬の実情、展望を社会に向けて統一して発信したい。 また、救助隊、現場に限らず、広く社会の支援のためにも災害救助犬の統一した情報発信Vol2 、Vol3が望ましい。 |
事務企画管理 | 合同訓練への取組み、調整がキーポイントになる。 実務における企画管理ができるようにしなければならない。 実務は災害救助犬組織のアキレス腱でもあり成否の鍵になる。 |
訓練計画 | 様々な課題は合同訓練の中で見つけ克服していく。 過去の現場教訓から考え実務的に計画・実行して行く。 寛容かつ厳格でありながらも顔の見える関係が望ましい。 いつどこで起こるかわからないためにすぐに取り組む。 |
人材育成 | 犬の育成が主眼であったが災害救助犬を機能させるためにはチーム体制が整わなければ災害地の散歩のように映る。その体制を整えず出動していたのは不用意であったのは過去の教訓である。 人命救助は犬主体から人の取組み意識の上に成り立つと考える。 |
行政対応 | 災害救助犬を認知している都府県の出動協定を各組織で締結することは無意味である。協定ありきではないが平時における行政との連携訓練などを行う場合に統一化は必要な課題である。 各組織が個別で対応するよりも連携した対応は行政側も望んでいると思われるのが救助犬サイドが纏まることが前提である。 |
財源計画 | 連携で使用する機材、訓練のための費用、広報、事務などの必要経費を賄う共同財源の裏付けが必要であるが、積極的な組織からの拠出していかなくては進まない。 |
社会評価 | NPO法人として掲げている目的は同じである。 その目的の社会的な責務を背負って、社会の支援を求める限りは社会を欺くことは許されない。広く社会の評価を得られる行動で示し、その結果、支援の輪が広がっていくようにしたい。 |
その他 | 連携に向けて排他的な選別は好ましくないが、災害救助犬の訓練を楽しんだり、競技会志向のスポーツドッグなどと、実働を目的とする災害救助犬とは区別しなければ議論が噛み合わない。 真摯に活動しなければ自らを危うくしていることに気付けば自ずと取るべき行動は見えて、何をするべきか、まずそれを問い直し平場の議論を始めたい。 |
組織連携 合同訓練Vol.1. 10月4日 東京都町田市 15頭33名 |
組織連携 合同訓練Vol.2 12月13日 埼玉県富士見市 24頭56名. |
組織連携 合同訓練Vol.3 1月17日 群馬県渋川市 28頭88名 |
組織連携 合同訓練Vol.4 2月12日 滋賀県竜王町 24頭26名 |
組織連携 消防合同訓練Vol.5 2月19日 千葉市 7頭96名 |
熊本地震組織連携 4月16-19日 熊本県南阿蘇村 8団体47頭82名 |
組織連携消防合同訓練Vol.6 5月15日 東京都 22頭35名消防26名 |
国際救助犬訓練週間(ITW) 5月22-28日 ジュネーブ 16ヶ国200名 |
組織連携合同訓練Vol.7 8月21日 前橋市 9頭18名(88名) |
組織連携合同訓練Vol.8 1月15日 渋川市 15頭30名(160名) |